寺垣スピーカー
プレーヤーの開発によって、「レコードの情報を正確に読み取る装置」は完成したと、区切りをつけました。その時点で「正確に読み取った情報を、耳に伝えるスピーカーがない」と感じたことが、スピーカー作りの動機となりました。そんな中、(私の講演ではすっかりおなじみですが)湾曲した板がオルゴールの音を増幅することを発見したことにより、この原理を利用したスピーカーの研究開発を続けております。
従来のスピーカーとは、まったく違った方式ではありますが、音楽を奏でる楽器とは同じ原理なのです。その意味では、私は新しい方式を発明したわけではなく、先人が既に実現していた英知を改めて拝借しただけなのです。
音の特徴としては、原理が同じである楽器と同様の特徴があります。まず、音の指向性がほとんどなく、360度どの位置から聞いてもほぼ同質の音が聞こえます。2点目は、従来のスピーカーよりも音圧が少ない(体感する音の大きさの割には音圧が少ない)点です。音圧の少ない音は長時間聞いても疲れ難いメリットがあります。この2点は我が家の試作機をお聞きいただいた方には明確に実感いただけたかと思います。
写真の通り、かなりの数の試作を20年にわたり繰り返したことで、経験的に、より効率的に音楽的な音を出すノウハウを積み上げて参りました。
この原理のスピーカーは株式会社Teragaki-Laboを設立し、製造販売を行っています。