メッセージ of 寺垣武 Official Website

メッセージ

 講演や取材など様々な機会を通して皆様にお伝えしている内容を、Webサイトを開設するにあたり、改めてまとめました。

RIMG0094.JPG私は機械技術者として、様々な産業機械の開発、1980年以降はオーディオ機器を中心に研究開発を続けてまいりました。戦争も体験し、2度の寺垣研究所の設立・閉鎖など、80年余りの人生を振り返ってみると実に波乱万丈であったと思います。

結果として70年以上ものづくり携わることができたのは、好奇心を持ち、試行錯誤を繰り返し、どんな苦境でも挑戦を続けたことが大きな要因だと思います。

思い起こすまでもなく、私は若いころから純度の高い好奇心の塊でした。小学生のときは汽車が好きで、学校を休んでしょっちゅう見に行ってたのですが、その結果出席日数が足らず、小学校を落第しました。

戦争中の体験で、米軍戦闘機の機銃が私のすぐ脇をかすめたことがあります。
「ああ、弾丸が通った後は煙のわっかができるんだな」そんなことを思いました。戦闘機が通り過ぎた後、私の命を奪うことになるかもしれなかった弾丸の薬きょうが落ちてきます。「ああ、触ったら熱いんだろうな」。そう思うと、何故かどうにも確認したくなりまして、触ってしまうのです。当然やけどしました。

昔から本当にどうしようもないほどの好奇心に突き動かされています。戦争中など命の危機を感じていても、どんな状況下でも、私の中の別な回路を通し、ところかまわず今も変わらず「好奇心」が鎌首をもたげて来ます。

私と直接会った方はご存知だと思うのですが、私はものづくり以外のことはまったく無頓着です。何事も「えいやっ!」としてしまう性質なのです。お恥ずかしい話なのですが、身内の不渡り手形の保証人になったため(えいやっ!)、1968年に住む家を失うことになりました(えいやっ!)私のものだけであるならばまだしも、妻と娘二人と過ごしてきた思い出の我が家を失ったことは、とても悲しい出来事でした。そんな状況になってしまっては、改めてがむしゃらに生きるしかなかったのですが、私はどのような状況下でも新しいものづくりに挑戦し続けてきたのです。

そんな理の探求の道において恐れてはならないのは「失敗や試行錯誤」「時間がかかること」「権威が言うこと」です。それを忘れずに挑戦し続ければ、必ずや真理に近づくことができるのです。

そして一番重要なのは「自分で行動し、その結果から真理を見抜くこと」です。我々はともすると、頭のみで考え、行動をせずに結果にのみ飛びつきがちです。しかしそれは単なる知識でしかありません。

「とことん考え、自分自身で行動して、真理を自分の内取り込むこと」が、真理の探求者に求められます。

2008.10.22


RIMG0020.JPGアナログプレーヤーの開発を手がけたことで、私の人生は大きく広がりました。プレーヤーの開発をご支援いただいた松下秀雄様(オーディオテクニカ創業者)や、スピーカーの開発で評価頂いたソニーの中島平太郎様(音楽CDを開発、元アイワ社長)など卓越した見識のある方々にお会いすることができました。(ソニーからはスピーカーは商品化予定があり、パンフレットまで作ったのですが、もろもろの事情により、世に出すことができませんでした。)

そしてオーディオ機器のまったくの門外漢であった私に、録音スタジオで一から基本を教えてもらうなど、現場の方々からの頼もしい援護もあり、何とかプレーヤーの製作を手がけ始めることができました。

様々な人にお会いする中、常々感じることは「アナログの凄さ」です。

体内で情報は電流によるデジタル信号で伝わりますが、物質界に身をおいている以上、物理現象の干渉は防げず、情報はアナログで伝わります。自然法則に従ったアナログは「より真理に近い情報」です。だからこそ現在のデジタル全盛の世界でもアナログは存在価値があり、アナログプレーヤーはこれほど愛されているのです。

そして、デジタルとの優劣をつけることは無益です。情報伝達の効率性(データサイズ・信号の正確性)などは、デジタル信号が優れており、それで視聴者に利があるならば、なにも不都合はないのです。

プレーヤーはレコードのアナログで記録されている情報を、物理・論理に則り、極限まで精度を追求するための開発を進めました。スピーカーの開発も、音は物理現象であるという観点に忠実に、楽器と同じ方式で音を発生させる方式を採用して開発しました。

今後もアナログプレーヤー、スピーカーの開発を通じて、皆さんの一生の喜びである「音楽」に少なからず貢献できれば、幸いでございます。


2008.10.22

RIMG0114.JPG講演会や、我が家にお越しになった方とお話しする中で、私が結論として毎回行き着く先は「人間は素晴らしい」ということです。
オーディオについての講演であっても、単に私の今までの体験であったとしても、話をしていく中で人間の素晴らしさは常に感じます。

芸術は自然から学びます、真理も自然から学びとるものです。自然の一部である人間は、芸術であり、存在自体が真理であるのです。

私の人間讃歌が皆様に届くでしょうか?願わくば。

2008.10.22

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